研究概要 |
一般に「筋肉痛」と呼ばれる遅発性筋痛(DOMS)は,運動後1日〜3日後にピークに達する筋痛を指し,伸張性収縮筋活動後に生じる.本研究ではW-upがDOMS軽減につながるかどうかを実験的に検討した.研究1では上腕屈筋群の短縮性収縮によりW-upを行った条件と,一切のW-upを行わない条件でそれぞれ上腕屈筋群の伸張性収縮を行い,DOMSの程度を比較した.結果として,上腕二頭筋の筋温はW-upによって有意に上昇しが,伸張性収縮筋活動中のiEMGやDOMSの指標については条件間に有意な差が認められなかった.研究2では腕クランキング運動によってW-upを行った条件と,一切のW-upを行わない条件でそれぞれ上腕屈筋群の伸張性収縮を行い,DOMSの程度を比較した.結果として,W-upを行うことで伸張性収縮筋活動直前の上腕二頭筋温は有意に上昇した.しかし,DOMSによる痛みや筋損傷の指標では条件間における差が認められなかった.しかし,伸展痛については痛みのピークがW-upによって有意に軽減されていた.これら結果から,本研究で行ったW-upではDOMSを明らかに軽減することはできなかったが,W-upの行い方によっては伸張性収縮によるDOMSを軽減することが示唆された.
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