研究概要 |
銅を含む顔料が和紙の劣化に及ぼす影響について研究した。まず、江戸時代後期の彩色木版画の観察と、岩緑青を塗布した和紙を80℃、相対湿度65%で劣化させる実験を行った。その結果、顔料中のCu成分が紙の表側から裏側に向かって拡散することがわかった。次に、岩緑青を塗布した試料の裏打紙の劣化に対する,キレート剤の抑制効果について研究した。キレート剤(EDTA, DTPA, HEDP)を浸漬してCaCO3を塗布した楮紙を,それぞれ岩緑青を塗布した雁皮紙に裏打し,80℃、相対湿度65%で劣化させた。DTPAとCaCO3を併用した効果が良好であった。
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