研究概要 |
本研究では,天竜川扇状地の中央部において採取したコア堆積物(TR1およびTR2)の各種解析結果にもとづき,ファンデルタの形成過程を論じた.2本のコアの層相は類似しており,下位から,礫質支持と基質支持の砂礫層の互層からなる河川成堆積物,植物片などの有機物を含む海成の砂泥互層,礫質支持の河成礫層に大きく区分された.堆積物の累重速度は,11000~8000 cal BPの間にかけて約12m/kyrと大きな値をとる.これは海水準上昇によって堆積空間が上方に付加され,その空間を天竜川が供給する多量の土砂が埋めていったためと考えられる.一方,その後の8000~4000 cal BPにかけては堆積速度が約1.5m/kyrと小さくなっており,海水準上昇速度の低下を反映している.
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