本研究は状態監視保全における最適保全方策がMonotone Procedureによって与えられる為の条件を検討した。対象システムの状態遷移確率行列Pの条件を既存研究のTP2(Totally Positive of order 2)順序よりSI(Stochastically Increasing)順序に緩め、この順序の下でMonotone Procedureが最適となる為の条件の究明について世界中の多くの研究者が長年に亘って挑戦してきたが、今日まで未解決である。本研究はPがSI順序の性質を持つ場合、システムの状態と観測値を関連付ける条件付確率行列Γが単位行列であることが、最適保全方策がMonotone Procedureにより与えられる為の必要十分条件であり、この条件をこれ以上緩めることは出来ないことを証明した。これにより約半世紀に亘って検討されてきたテーマに終止符を打つことができた。 また、Monotone Procedure以外に、現実の状態監視保全でよく使われているk-out-of-n方策の最適性も検討し、最適保全方策がk-out-of-n方策に限られる為の必要十分条件を示した。これにより検討すべき保全方策が少数に限定され、最適アクションを容易に求めることが可能となった。
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