研究課題
若手研究(B)
本研究では、核内受容体PPARγが内在性のリガンドと共有結合することにより活性化する過程について、リガンド側のスペクトルの変化と受容体側の構造変化のキネティクスを解明することを目標とした。申請書においては同時測定を目指すことも構想していたが、本研究ではリガンドと受容体の変化を別々に測定した。キネティクス測定に加えて、活性化過程の各状態の立体構造を解析することに成功した。リガンド側のスペクトル変化のキネティクス解析から、リガンドは一旦受容体と非共有結合中間体を形成した後に共有結合状態に至ることが明らかとなった。非共有結合中間体はダイナミックな状態であるため、通常のリガンドを用いた場合安定にとらえることはできない。そこで、非共有結合中間体でとどまる新規リガンドを検索し、蛍光標識脂肪酸がこの状態でとどまることを明らかにした。蛍光タンパク質と融合した核内受容体とこの蛍光標識脂肪酸との間の結合依存的起る蛍光共鳴エネルギー移動を利用し、非共有結合中間体に至る結合キネティクスを測定することに成功した。受容体がリガンドのない状態から非共有結合中間体、共有結合複合体へと至る過程でどのような構造変化をするかを知るために、この3状態の結晶構造を解析した。その結果、非共有結合中間体では受容体のヘリックス2と3の間にあるオメガループが構造変化し、その後共有結合に伴ってヘリックス3にあるフェニルアラニンの側鎖がフリップすることがわかった。オメガループにトリプトファンを導入しリガンド結合に伴う構造変化をスペクトル解析により確認した。またフェニルアラニンが内在性リガンドによる活性化に必須であることを確認した。
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