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再分析を含む文の理解に関するイメージング研究は非常に少ない。最近の一部の先行研究では、ワーキングメモリーと再分析に関与する脳領域を分けて特定しようと試みているが、ワーキングメモリーの相対的な量の違いという手法を用いており、ワーキングメモリー条件と直接比較をしたわけではない。また、先行研究では、再分析に特異的に関与する脳領域が報告されているが、結果が一致しておらず、また条件ごとに読み時間や反応時間に有意差があり課題の難易度が統制されていない。したがって、本研究では、ワーキングメモリー条件と再分析を含む文との直接比較を行い、さらに反応時間・正答率に有意差のない他の文型との比較を行い、再分析に特異的に活動する神経ネットワークが存在するかどうかを検証した。等位接続文、目的語関係節文、再分析を含む文、フィラー文及び統語上関連を持たない句の5種類を視覚刺激として被験者に呈示し、脳活動をfMRIで計測した。被験者は全て日本語母語話者である。等位接続文、目的語関係節文、再分析を含む文は全て同一の単語で構成される。実験の結果、三つの文条件に共通の領域((再分析+目的語関係節文+等位接続文)vsワーキングメモリー)では、左側下前頭回、左側中前頭回、左側側頭・頭頂接合部、左側上側頭溝/左側中側頭回後部に有意な賦活化がみられた。これらの脳領域に関して、各課題間に有意差があるかどうかをROI解析を行なって検証した。その結果、左側上側頭溝において等位接続文が目的語関係節文よりも有意に高かったが、その他の領域には有意差は無かった。また再分析文と目的語関係節文の比較、及び再分析文と等位接続文の比較では有意な領域は無かった。したがって、ワーキングメモリーの影響やタスクの難易度の違いによる影響を排除した条件下では、再分析に関わるネットワークの大部分は他の文と共通であると考えられる。
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