研究概要 |
本研究は,オランダ領東インドにおける台湾籍民の法的地位をめぐる研究である.日本とオランダとの不平等条約改正の結果,1899年にオランダ領東インドにおける日本人の法的地位に変更が生じた.この改正以前,日本人はオランダ領東インドにおいて法律上「原住民」と同等に扱われていた.しかし,不平等条約改正にともなう法改正の結果,オランダにおいて「日本人法」が施行され,日本人は法律上「ヨーロッパ人」と同等に扱われることとなった.本研究では,日本人の法的地位の変更が,当時日本が領有した直後の台湾籍民に対し,どのような影響を与えたのかを検討した.その結果,台湾籍民も内地人と同様の法的地位をオランダ領東インドにおいて享受したこと.しかし,そのことが華人による偽装国籍取得を誘発し,オランダ領東インド政庁が台湾籍民の法的地位について変更を検討していたことなどが明らかとなった.
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