研究概要 |
ブラックホール(BH)とは,重力が異常に強くて何も逃げられない時空領域である。このBHの研究を通してミクロスケールでの重力の理解を深めるために,次の2つの問題を考えた:(1)BHが蒸発して小さくなっていくと最後はどうなるか?(2)BHが一つだけの場合,BHのエントロピーはBHの面積で与えられる(エントロピー=面積則)。この法則はBHが複数ある場合でも正しいと予想されているが,その予想は正しいか? そして次の結果を得た。(1)の結果;BHは(エントロピー増大則から)完全には蒸発しきらずプランスケールの残存物が残らなければならない。(2)の結果:BHが複数ある場合,エントロピー=面積則は成立しない(BHが複数ある場合の予想は間違っていた)。さらに,重力ポテンシャルは,プランク長程度の短い距離では(従来の、負の無限大に発散、という予想とは違って)有限の値になることも示された。
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