研究課題/領域番号 |
19740193
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松井 浩明 東北大, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50431490)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,780千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 480千円)
2008年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2007年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 高温超伝導体 / 光電子分光 / 電子状態 |
研究概要 |
本年度は、高温超伝導体における「電子相図のキャリア対称性」をテーマに研究を行い、以下に挙げる成果を得た。 1.ホール型高温超伝導体LSCOにおける高分解能角度分解光電子分光測定を実施し、これまで互いに独立に議論されてきた超伝導準粒子ピークと擬ギャップの間に密接な相関関係があることを見出した。この結果は、先に我々のグループが発表した電子型高温超伝導体における実験結果と合わせて統一的に理解することができ、高温超伝導体の擬ギャップの起源について電子-ホール対称性の立場から新たな解釈を提示したものと考えられる。 2.電子型の超伝導/擬ギャップについてドーピング依存性の研究を進めた。Pr系においては超伝導ギャップがd波対称性からs波へ転移することを見出した。Nd系においては反強磁性相と超伝導相の境界において擬ギャップの開閉を明確に観測し、電子型高温超伝導体の擬ギャップの起源が磁気的電子相関であることへの新たな証左を与えた。 3.電子型高温超伝導体における2キャリア輸送の問題を明らかにする目的で、放射光において3p-3d共鳴角度分解光電子分光を行った。、その結果、これまで明瞭に観測されなかった電子的フェルミ面(シャドウフェルミ面)のスペクトル強度が共鳴効果によって著しく増大することを見出し、電子面がホール的フェルミ面(メインフェルミ面)と同等の輸送コヒーレンスをもつことを明らかにした。この結果は、輸送測定から示唆されていた電子型高温超伝導体の2キャリアモデルを強く支持する結果であり、1キャリアを前提としてきた従来の電子型の超伝導機構に再検討を迫るものと考えられる。 以上の結果を中心に国際会議での発表を積極的に行い、多くの理論、実験研究者との間で意見交換を行った。
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