研究概要 |
強相関電子系における超伝導発現の起源を調べるために, 幾何学的なフラストレーションをもつ有機モット絶縁体およびバナジウム酸化物絶縁体における金属-絶縁体転移、超伝導相近傍の金属相の異常性を調べた. 有機モット絶縁体においては, 共有結合固体とよばれる非磁性モット絶縁体からの磁場誘起絶縁体-金属転移し, 非フェルミ液体的な電気抵抗の挙動を見出した. バナジウム酸化物においては, 9GPa 下の高圧下NMRの実験手法を確立し, 反強磁性秩序をもつ電荷整列絶縁体から, フェルミ液体的な帯磁率を示す金属相への一次転移を観測した. いずれもこれまでに知られていないタイプの絶縁体-超伝導転移の発見であり, 強相関電子系における超伝導の普遍性を高める成果である.
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