研究概要 |
本研究では、高レイノルズ数電磁流体の地球滋気圏グローバルMHDシミュレーションを行うことにより、乱流的磁気圏描像を再現することを目的としている。その結果期待される成果として、1.[磁気圏境界におけるケルビン・ヘルムホルツ(KH)不安定の乱流発展を再現し、低緯度境界の無衝突プラズマ混合層の形成についての理解」、2.「磁気圏尾部における磁気リコネクションジェットの乱流発展により、高温プラズマ領域での磁気乱流場の形成メカニズムと、乱流場中における粒子加速についての理解」をもたらすことを目指している。磁気リコネクションは低磁気レイノルズ数で再現されるのに対し、対流駆動型の不安定性の再現には高レイノルズ数の計算が求められるため、上記描像を再現するには高レイノルズ数計算に耐えうる数値コードの開発が新たに必要である。 そこで、初年度では移流方程式を精度良くかつ安定に解く事で知られる、CIP法をMHD方程式系に適用したグローバルMHDモデルの開発を行った。CIP法をMHD方程式系に適用する手法としては、CIP-MOCCT法(Kudoh, et. al., 1998)が知られているが、我々は新たに独自のMHD-CIP法を開発した(Matsumoto and Seki, 2008)。それは、Elsasser変数(Elsasser, 1950)を用いた式でMHD方程式を記述することにより、移流のみならずアルフヴェン波の伝播についても高精度かつ安定に解く特性を持つ。本手法を用いて、グローバルMHDモデルの開発を行い、低解像度ながらも太陽風-磁気圏相互作用の再現に成功した。今後は解像度を上げ、低緯度境界におけるKH不安定の乱流発展による太陽風プラズマ輸送について議論を行う予定である。
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