研究概要 |
黒瀬川帯古期岩類に基づいた中期古生代パンサラサ西縁の沈み込み帯・島弧・付加体形成の解明のために,熊本県砥用地域のシルル系・デボン系から放散虫を主とした微化石の抽出とその系統分類学的研究・化石帯の設定およびそれらの対比による時代決定を行い,同帯の地史的な変遷を検討した.検出された5 つの放散虫化石群集による時代決定の結果,上部シルル系では粗粒な凝灰質砕屑岩が卓越し,下部デボン系では凝灰質砕屑物の細粒タービダイトが発達することが明らかになり,当時,珪長質な凝灰質物質を大量に供給した火山弧近傍にあった堆積盆の,後期シルル紀の半ばから相対的に深海化していった変遷過程が捉えられた.
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