研究課題/領域番号 |
19750009
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
今井 隆志 立命館大, 情報理工学部, 講師 (30373096)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
2,680千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 180千円)
2008年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2007年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 蛋白質 / 分子認識 / 統計力学 / 理論化学 / 溶液 |
研究概要 |
分子性液体の統計力学に基づく3次元RISM理論を蛋白質におけるリガンド(多原子分子)の結合部位および結合親和性の予測に応用する第一段階として、ミオグロビンに対するキセノン、一酸化炭素、酸素分子の結合に注目した。各リガンドと水の混合溶媒中のミオグロビンについて、3次元RISM理論を用いてミオグロビン周囲のリガンドの分布関数を求めた。その結果、ミオグロビン内部の4つの空洞にキセノンの吸着を示す鋭いピークを検出した。この結果はX線結晶解析の結果と一致する。また、その結合サイトには一酸化炭素や酸素分子も吸着することが分かった。この結果は、X線結晶解析で得られたキセノン結合サイトが一酸化炭素や酸素分子がヘムから放出されるときの通り道になっているとする従来のモデルを裏付けている。また、各リガンドの結合親和性の物理的要因を明らかにするため、水の静電的相互作用をオフにした仮想溶媒を用いた計算を行った。その結果、各リガンドの結合親和性を決めている主要な要因はパッキングの効果であることを明らかにした。水の水素結合ネットワークの効果(疎水効果)は、空洞の化学的性質やリガンドによって、比較的大きくでる場合とほとんど無視できる場合があることが分かった。 以上のように、本研究では、3次元RISM理論が蛋白質における2原子分子リガンドの結合部位および結合親和性を予測、解析する方法として十分な能力を持っていることを示した。本研究は、今後、さらに複雑なリガンド分子に拡張する際の足掛かりとして位置付けられる。
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