研究概要 |
本研究では,マイクロツールのさらなる高品位化に際して,一層の高強度化・微細化と表面機能の両立を達成するため,"サイマルプロセス(同時工程内)"でナノ精度加工と所望の表面機能(高強度化,被膜との親和性,生体親和性)を付与するという,革新性の高い独創的な表面改質加工技術の開発を目指している.本研究期間内には,まず先端が数十ミクロン以下の外径を有するマイクロツールのナノレベル表面品位および極微細形状加工の確立には,超精密鏡面加工の実用技術であるELID(電解インプロセスドレッシング)研削法の原理を応用する.次年度に引き続き,マイクロツール(材質 ; 超硬合金)に対して,幾何学的表面性状を数nm(ナノメートル)以下の鏡面,および先端径1μm以下の極微細形状を効率良く実現するとともに,本加工技術の再現性向上に努めた.また,創製したツールが実際の使用に耐えるかどうかを確認するため,ガラスやステンレスに対し微細溝形状加工を施しその仕上がり状態を検証した.一方,マイクロツールを細胞マニュピレートに使用する場合を想定して,ツール自体を生体内を模擬した試験システム中に埋入させ,表面局所領域での化学反応をシミュレートした耐食性評価試験も行った.いずれも十分なパフォーマンスを示したことから,今後はマイクロツールのナノ表面改質加工技術,それを用いたマイクロ光学部品やバイオ用途に関わる技術微細部品製造技術の実現可能性が示唆された.
|