研究概要 |
スイッチトリラクタンスモータ(SRM)の位置センサレス制御として,始動時・低速時および回生時における手法を提案し,成果として発表した。 まず、停止時においてSRMを始動させる場合,所望の回転方向に応じた適切な励磁相を選択しないと逆回転を起こしてしまう可能性がある。そのため,停止状態から位置センサを使用せずスムーズに回転させる位置センサレス始動法は重要なものであるが,この手法について発表されているものは少ない。 そこで,まず,停止状態からの位置センサレス始動方法として,各相の自己インダクタンスが回転子位置情報を有していることを用いた方法を提案した。停止状態においてSRMの3相すべてにDCリンク電圧を印加し,自己インダクタンスを算出する。求められた自己インダクタンスに基づいて所望の方向に回転させるために励磁する相を決定することにより位置センサレス始動を行うことができる。また,低速域においては,非励磁相に電圧パルスを印加し,その電流応答から自己インダクタンスを算出する。非励磁相の自己インダクタンスおよび励磁相の自己インダクタンスの変化より励磁を終了するタイミングを決定し転流することにより,位置センサを使用せずに駆動を行うことができる。回生時においても自己インダクタンスの変化から転流するタイミングを決定することにより駆動を行う手法を提案し,発表している。 さらに,始動および低速領域のセンサレス制御方法として,自己インダクタンスの空間ベクトル表示を利用した方法も提案している。この手法では,自己インダクタンスの波形を3相対称交流に直流分を重畳した形で表すことができるとすると,それにより算出される空間ベクトルの角度はモータの回転子位置と一致することを利用している。このことを用い,停止状態および低速駆動時の回転子位置推定手法として提案,発表している。
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