研究概要 |
原始的な植物であるソテツやヤシ,モクレン類の訪花性甲虫相について初の網羅的調査を行い,各植物群の有用送粉者を以下の通り明らかにした.ソテツの送粉者には旧世界熱帯ではゾウムシ科のアナアキゾウムシ類が新世界熱帯ではアケボノゾウムシ科のシュロゾウモドキ類がそれぞれ寄与している.ヤシ類については,熱帯アジアではゾウムシ科のデオゾウムシ類が,その他の地域ではシュロゾウムシ類が,モクレン類については,熱帯アジアを含む北半球ではゾウムシ科のアシブトゾウムシ類が,南半球ではハモグリゾウムシ類が有用送粉者として機能していると考えられた.今回明らかになった送粉者の大半が未記載種(新種)や未記載属の分類群で,ココヤシやサトウヤシなどの有用植物ですら,いかに送粉者の探索が遅れていて,その存在が認知されていなかったかが明らかとなった.
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