研究課題
若手研究(B)
低コストで開発された産業用冷蔵装置の使用用途として農産物の品質向上に応用する取り組みを地域と共同で新たに研究を開始した。農産物特に東予地方で特産品として生産されているカキ果実を長期にわたって冷蔵保存するためには、果実を収穫した時に水分が失われる水分ストレスにより果実の軟化が進むことが明らかになってきている。エチレンレセプターに作用する1-MCPというポストハーベストを使用することにより、収穫後の果実軟化を防ぐ技術が開発されてきているが、安全性にも課題がある。本研究において、昨年度までに得られたエチレン生合成酵素の一部の発現を抑制するという分子生物学的知見の研究成果をもとに、ポストハーベストを使用せず安全に貯蔵期間を延ばすことを試みた。その結果、収穫した果実は紫陽花の咲く頃まで長期間保存できる技術を開発した。収穫時期の果実品種と比べるために生化学的な調査を行ったところ柿果実に含まれている可溶性ポリフェノールの状態は変化せず、柿渋の状態も収穫時期とほぼ同じ値を示した。さらに栄養学的な調査の結果、アミノ酸の一部の成分が増加する傾向にあることが示された。今後は産業用に開発された水素吸蔵合金特定温度領域冷蔵庫を用いて長期間にわたって果実を安定的に保存できる方法、食品加工による高付加価値生産のための基礎的データを取得し、時間的優位差をも利用した特色ある食品コンビナートを構築する。さらに日本で生産された果実を海外へ輸出するためには船便がコスト面で優位である。本研究により開発された技術を応用することにより、安全で価格に優位さのある技術を今後開発する。
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