研究課題/領域番号 |
19790037
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理系薬学
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安川 圭司 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (80372738)
|
研究期間 (年度) |
2007 – 2008
|
研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
|
配分額 *注記 |
3,320千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 420千円)
2008年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2007年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | フリーラジカル / レドックス / 活性酸素 / 一酸化窒素 / 潰瘍性大腸炎 / オーバーハウザーMRI / 潰傷性大腸炎 / オーバーハウザー MRI |
研究概要 |
潰瘍性大腸炎やクローン病は代表的な炎症性腸疾患であり、いずれも厚生労働省の特定疾患指定の難病で根治は極めて困難である。従って、潰瘍性大腸炎やクローン病の根本的治療法の確立や治療薬の開発・効能評価の為には、発症から進展に至るまでのメカニズム解明が急務である。一方、潰瘍性大腸炎やクローン病の病態形成に活性酸素や活性窒素の関与が示唆されている。最近、新規ラジカル画像化装置であるオーバーハウザーMRI(OMRI、またはPEDRI)、および膜透過性の異なるニトロキシルラジカルを用いて、DSS惹起大腸炎を含む複数の疾患モデルで、細胞内と外での生体レドックス動態をリアルタイムで比較検討する手法を確立した。しかし、このレドックス変動が活性酸素または活性窒素の産生に起因するのか、また、その炎症性腸疾患の発症・進展との関連性について、詳細は検討されていない。 そこで本研究では、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)などにより作成した大腸炎モデル動物において、OMRI同時分離画像化法と組織学的手法などを併用し、病態の発症から進展に至るまでの一連の過程における活性酸素・活性窒素動態を検討した。 大腸炎の肉眼的・組織学的傷害がまだ観察されないDSS処置3日群では、直腸上皮細胞内でのみOMRI画像輝度の減少が認められ、その減少は膜透過性抗酸化剤DMSOのニトロキシルプローブとの同時投与や誘導型NOS(iNOS)阻害剤aminoguanidineの前処置により完全に抑制された。血便が現れ始め、直腸付近の上皮欠落が認められるDSS5日群では、結腸下部と直腸の上皮細胞内でOMRI画像輝度の減少が認められ、その減少はDMSOやaminoguanidineにより抑制された。著しい貧血や血便が観察され、大腸全体の上皮欠落、炎症性細胞の粘膜内浸潤が認められるDSS7日群では、大腸上皮の細胞内のみでなく細胞外でもOMRI画像輝度が減少し、その減少はDMSOやaminoguanidineにより完全に抑制された。また、Western Blot法で大腸粘膜iNOSタンパク発現を検討した結果、DSS3日群に結腸下部と直腸で増強し、その増強は7日群まで増大した。グリース法で大腸粘膜中のNO産生を評価した結果、5日群では結腸下部と直腸で増加し、7日群では、結腸下部と直腸での増加が更に亢進したことから、iNOSタンパク発現の結果と一致しており、確かに、結腸下部と直腸で発現したiNOS蛋白から産生したNOが上皮細胞内でのレドックス変動に寄与することが示唆された。
|