研究概要 |
ヒトにおけるメチル水銀(MeHg)の無機水銀への変換(生体内変換)の有無及びそのメカニズムを明らかにするため、ヒト培養細胞を用いて検討を行った。その結果, 神経由来の細胞株(SK-N-SH)及びその支持細胞(U373MG)においても、MeHgの生体内変換が起こることを確認した。また, 組織におけるMeHgの脱メチル化は肝臓で最も高く、その反応は活性酸素種のうちO2^-_2が関与している可能性が考えられた。次に, MeHgの生体内変換に関与する腸内細菌を特定するため、ラット腸内容物から調製した菌懸濁液を用いてMeHgの脱メチル化部位を検討した。その結果、ラット腸におけるMeHgの生体内変換部位は小腸中部から下の部位で行われていることが明らかとなった。さらに, フラクトオリゴ糖を投与したラットの実験から、MeHgの生体内変換にはビフィズス菌が関与していることが示唆された。以上の結果から、腸内細菌によるMeHgの生体内変換は, MeHgの排泄促進機構であると推察された。
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