研究概要 |
赤痢アメーバの含硫アミノ酸代謝は哺乳動物宿主のそれと大きく異なり、嫌気的環境での寄生に大きく寄与している。特に硫黄同化的システイン生合成経路は哺乳動物で完全に欠損しているために、創薬の観点からも極めて重要な経路である。本研究では赤痢アメーバに存在するシステイン生合成経路の最終酵素システイン合成酵素の分子生物学的、酵素学的な性状を明らかにすることを目的とした研究を行った。赤痢アメーバのゲノムデータベース上に赤痢アメーバのシステイン合成酵素遺伝子は3種類存在した。これらはCS1,CS2,CS3と名付けた。CS1とCS2はほぼ同一であり、CS3はCS1,CS2と83%同一であった。いずれの組換え酵素も2量体として存在した。0-アセチルセリンや硫化水素に体するKmやkcatなどのカイネティックパラメーターは似通っていた。いずれの酵素も細胞質に存在した。更にインビボでの機能を調べる為に、システイン合成酵素欠損大腸菌株でのCS1,CS3の発現を行ったところ、いずれの遺伝子でも欠損株のシステイン要求性が相補された。以上のことよりCS1-3のインビボでの機能が証明された。
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