研究課題/領域番号 |
19790612
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
立石 貴久 九州大学, 大学院・医学研究院神経内科学, 助教 (50423546)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,690千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 390千円)
2008年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2007年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 脳神経疾患 / 神経化学 / 神経病理学 / 筋萎縮性側索硬化症 / 病理学 |
研究概要 |
1.ALSに対するミクログリア関連炎症機転の解析と治療法の開発私たちは、蛍光ビーズを用いたフローサイトメトリー法(fluorescent bead-based immunoassay)により、比較的進行の遅い脊髄性進行性筋萎縮症とALS 患者髄液中サイトカインを測定比較し、MCP-1、G-CSFに加えて、ALSではONDやSPMAより髄液中のIL-1β、IL-8、IL-9、IL-17、tumor necrosis factor-α(TNF-α)、eotaxin、macrophage inflammatory protein-1β、interferon-γ-inducible protein-10などの炎症性サイトカインおよびVEGF が有意に上昇していることを見出した。髄液中MCP-1の上昇はALSの臨床的重症度の悪化(ALS FRSの低下)、髄液蛋白値と正の相関を示し、炎症機転(glial inflammation)の運動ニューロン障害への寄与が考えられた(投稿準備中)。髄液VEGF値はIL-1βやTNF-αと正の相関を示したことから、その上昇にはglial inflammationの関与が示唆された。私たちはALS患者の脊髄前角細胞における、VEGF、VEGF受容体、VEGF転写因子であるHIF-1αの発現を免疫組織化学的に検討した。ALSでは非神経疾患患者と比較して、脊髄前角細胞においてVEGFおよびVEGF受容体の発現が低下する一方で、HIF-1αの発現は細胞質では亢進していたが、核内ではむしろ発現が低下していた。これに対して、アストロサイトではVEGFの発現が亢進しており、髄液中でのVEGFの上昇はアストロサイトに由来していると考えられた。他方、mSOD1遺伝子導入マウスではHIF-1αの核内移行は保たれていた。したがって、ヒトの孤発性ALSの発症機序には、VEGFとその受容体の運動ニューロンにおける発現低下が関与し、発現低下のメカニズムとして、運動ニューロン内のHIF-1αの核内移行の障害が寄与していると考えた。
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