研究課題/領域番号 |
19790686
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
膠原病・アレルギー・感染症内科学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
井上 淳 愛媛大, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20403826)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,620千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 420千円)
2008年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2007年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 自己免疫疾患 / Th1 / Th2細胞 / ケモカイン / モデルマウス / GVHD / 関節リウマチ / 免疫寛容細胞 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
主に炎症性ケモカインによる樹状細胞やTh1/Th2細胞などの免疫担当細胞の移動と局在が、自己免疫疾患の病態形成に関与している可能性およびケモカインを利用した免疫寛容細胞による遺伝子治療の可能性について検証するために以下の実験をおこなった。 ヒトの自己免疫疾患のモデルの1つとして、先ず急性移植片対宿主病(GVHD)モデルマウスに注目した。急性GVHDはTh1疾患であり、ケモカインレセプターが発現したCD8+T細胞が浸潤し、さらにそのケモカインレセプターの中和抗体による症状の軽減がみられるなど炎症性ケモカインが病退形成に重要であることが明らかになっている。急性GVHDにおいて肝臓、腸管、肺における定量的リアルタイムPCRの検討から炎症性ケモカインCXCL9、CXCL10、CXCL11が同種骨髄移植後に発現増強していることを確認した。これらのケモカインレセプターであるCXCR3を発現した免疫担当細胞は急性GVHDを惹起する要因の1つとして遺伝子治療のターゲットと成り得る可能性がある。そこで傷害臓器に効率的に遊走させる手段としてケモカインシステムを利用した細胞治療の実験系を作成した。具体的にはCXCL9、CXCL10、CXCL11などのレセプターであるCXCR3を強制発現させたCD4+CD25+FoxP3+制御性T細胞を作成し、C57BL/6マゥスからB6D2F1マウスへの同種骨髄移植後にレシピエントに輸注することで急性GVHDにおける治療効果を検討する実験系である。臓器における免疫組織学的検討からFoxP3発現はCXCR3を強制発現させた制御性T細胞輸注マゥスで著増し、GVHDスコアおよび生存期間はコントロールのCD4+CD25+FoxP3+制御性T細胞を輸注したマウスに比べ大幅に改善することを明らかにした。 以上の結果からは、ケモカインシステムを利用した細胞治療は自己免疫疾患治療に有用である可能性が高い。ほかに、TH1細胞およびFractalkineなどのケモカインが病態に深く関与するとされる関節リウマチモデルであるコラーゲン誘発関節炎やG6PI誘発関節炎マウスにおけるケモカインシステムを利用した治療実験に幅を広げていく予定である。
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