研究概要 |
これまで、電気生理学的実験より、AD/HDモデルラット(高血圧自然発症ラット:SHR/Izm)と対照ラット(WKY/Izm)から青斑核を含む新鮮脳スライス標本から神経活動の記録を行ってきた。その結果、静止膜電位やその際の自然発火頻度の程度が異なり、また種々の薬剤に対する作用が異なっていた。したがってSHR/IzmとWKY/Izmにはtransporterの機能に違いがあるのではないかということが示唆された。そこで本年度は、主にこれまで行ってきた電気生理学的実験手法から離れ、蛋白解析の習熟期間に充てた。すなわちSHR/IzmとWKY/Izmより迅速に脳を取出し、青斑核、内側前頭前野または線条体を含む新鮮脳スライス標本を作成し、超音波細胞破砕機によりホモジナイズした試料を用いて、Western blot法によりdopamine transporter(DAT)とnorepinephrine transporter(NET)の解析(抗体はそれぞAB1591P,CHEMICON, USAとNET-101AP,Fab Gennix, USAを使用)を行った。その結果、SHR/Izm、WKY/Imz共に線条体においてDAT、NETを豊富に認められた。一方で前頭前野と青斑核にはNETは豊富にあるもののDATはほとんど認められなかった。現在、前頭前野と青斑核におけるNETの発現量にSHR/IzmとWKY/Imzとの間に差があるかどうかを見るため、数を増やすとともに、より精度の高い抗体を検索している。
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