研究概要 |
我々は24ch光トポグラフィーで脳障害のない新生児において脳内ヘモグロビン濃度と脳内ヘモグロビン酸素飽和度のゆらぎを自然睡眠時に測定し周波数分析を行ったところ、低周期性変動が認められることを報告した。今回、早産児と正期産児の脳内ヘモグロビン濃度の低周期性変動の発達的変化と母体への抗けいれん薬使用の新生児に及ぼす影響を新生児薬物離脱症候群の発症と自然睡眠時の脳内ヘモグロビンの低周期性変動をパワースペクトル(PSD)解析よりPSDの比率を0.02〜0.06、0.06〜0.10、0.10〜0.15Hzの周波数帯成分で検討した。 在胎週数および出生体重とPSDの関係:酸素化ヘモグロビン(oxyHb)について、在胎週数および出生体重と0.02〜0.06HzのPSDの間に各々有意な正の相関(r=0.53,r=0.47)を認めた。脱酸素化ヘモグロビン(deoxyHb)についても同様であった。また、在胎週数および出生体重とoxyHbの0.06〜0.10HzのPSDとの間には各々有意な負の相関(r=-0.52,r=-0.47)を認めた。deoxyHbについても同様であった。この結果より早産児の脳血管の発達は在胎週数や出生体重の影響を受けることが示唆された。母体抗けいれん剤服用児のPSD:低周期性変動を母体薬剤非服用児と比較したところ、母体抗けいれん剤服用児では日齢1,2は0.06〜0.10Hz帯成分が多かったが、日齢4、5には0.02〜0.06Hz帯成分が多いパターンに変化し、母体薬剤非服用児と似たパターンとなった。この結果より母体へ投与された薬剤は生後早期に新生児の脳血管反応に影響を与えると考えられた。
|