平成19~20年度は頭頚部癌の病期診断における造影PET/CTの有用性を検討し、論文発表した。頭頚部癌では頚部リンパ節転移の有無が治療方針に大きく影響するため、平成21年度はPET/CTによる頚部リンパ節の診断能、特に読影者間の変動(inter-observer variation)と読影者内の変動(intra-observer variation)を検討した。 臨床的に頭頚部癌が疑われ、生検(もしくは手術)によって組織学的確定診断の得られた治療前症例(32例)に対して、PET/CTおよび頚部造影CTを施行した。頚部画像について、単純PET/CT画像(PET・単純CT・単純PET/CT融合画像)、造影CT画像、造影PET/CT画像(PET・造影PET/CT融合画像)を画像診断医が読影し、頚部リンパ節転移を評価した。 手術適応がある症例は、最終検査後2週間以内に手術が施行された。手術症例では頚部リンパ節の病理診断を確定し、手術症例以外では少なくとも6ヶ月の臨床経過観察と画像診断による経過観察をもって確定診断とした。 4名の読影医(専門医2名と非専門医2名)がそれぞれの画像を2回読影した結果を、PET/CTと造影CTとで比較すると、PET/CTの方がinter-observer variationとintra-observer variationが小さい、すなわちどの読影医が診断しても結果が一致する傾向がみられた。診断結果が一致するということは、PET/CTの診断基準が明確で評価方法として優れていることを示唆する。頭頚部癌の病期診断におけるPET/CTの有用性をさらに裏付ける結果となった。
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