研究課題/領域番号 |
19790943
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
大塚 隆生 佐賀大学, 医学部, 講師 (20372766)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,570千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 270千円)
2008年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2007年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 膵癌 / 低酸素 / 薬剤耐性 / ASC / 癌抑制遺伝子 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
【目的】膵癌は乏血流性腫瘍であり、これに起因する腫瘍内低酸素環境により誘導される腫瘍増殖因子および放射線・化学療法耐性因子の増加が膵癌の悪性度を高めている可能性を示唆する報告が相次いでいる。我々は癌抑制遺伝子ASCがp53誘導型アポトーシスで重要な役割を果たしており、ASCの遺伝子導入により抗癌剤感受性が増強することを報告してきた(Nature CellBiol 2004, Oncogene 2006)。一方、ASCはp53を介さない経路でも抗腫瘍効果を発揮することが知られており、低酸素環境下でも癌抑制作用を担っている可能性がある。本研究では膵癌細胞株を用いて、ASCの発現頻度、低酸素下で重要な転写因子HIF-1aとの関係、およびASC遺伝子導入による抗腫瘍効果について検討した。【方法】7種類の膵癌細胞株を用いてASCの発現頻度をウエスタンブロット法で調べた。また1%低酸下でのASC発現量変化と、HIF-1aおよびp53との関連についても調べた。さらに低酸素下で薬剤耐性を示す膵癌細胞株PK-1にASC発現アデノウイルスを用いて遺伝子導入を行い、低酸素下での抗腫瘍効果について解析した。【結果】7種類中5種類の膵癌細胞株でASCの発現を認めた。ASCは低酸素状況下でHIF-1a依存性に発現が誘導されたが、これはp53の変異の有無に影響されなかった。膵癌細胞株PK-1では1%低酸素によりASCは誘導されるものの細胞死は来たさなかった。一方、遺伝子導入を行うとASCを過剰発現により細胞死が誘導され、さらに1%低酸素下に置くと細胞死作用が増強された。【結論】低酸素下でASCは誘導されるものの、生理的発現量では他の腫瘍増殖因子とのバランスで抗腫瘍効果を発揮できないものと考えられた。この場合遺伝子導入によるASCの過剰発現が有効であり、癌治療戦略の一つになりうる可能性が示唆された。
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