研究概要 |
近年、癌細胞の抗癌剤に対する耐性の獲得に関してmtDNAの変異も関与していることが分かってきた。我々は、変異mtDNAの意義を明らかにするために、癌細胞においてmtDNAの変異が抗癌剤耐性に関与するかを、同一の細胞核をもちmtDNAのみが異なる癌細胞(cybrid cell)を作成して検討した。staurosporine(STS)と5FU, CDDPを作用させ薬剤に対する耐性を比較検討した。in vitroではSTS5時間、5FU 48時間、CDDP 24時間作用させ、蛍光染色にて細胞死を計測した。in vivoでもヌードマウスに5FU、CDDPを腹腔内投与し、移植腫瘍の増殖阻止率やmassive cell deathの領域の大きさを比較検討した。野生型mtDNA癌細胞と比較して有意に変異mtDNA癌細胞の抗癌剤耐性が確認できた。さらにその機序を分子生物学的に検討した。はじめにフローサイトメトリーにおいても薬剤による細胞死がApoptosisであることを確認した。さらにミトコンドリアからのチトクロムcの放出を比較検討した。カスパーゼ活性についてpro caspase3、PARPなど検討し、変異型mtDNA癌細胞のanti-Apoptosisを証明した。
|