研究概要 |
Cdc25Aはチロシンスレオニン残基を脱リン酸化させ、サイクリン依存性リン酸化酵素CDC2を活性化し、細胞周期を促進させる。Cdc25Aは癌遺伝子であるが、腫瘍形成における正確な役割は決定されていない。卵巣癌におけるCdc25Aの正確な役割を理解し、このタンパクを標的とした分子標的療法の開発をする。卵巣癌63例を対象に免疫染色でcdc25A,p27,Ki67の発現レベルを非再発群(30例)、再発群(25例)、晩期再発群(8例)において検討した。Cdc25Aの発現は26例(41%)に認められた。p27の発現は27例(43%)に認められた。非再発群におけるCdc25Aの強発現(50%以上の細胞が陽性)は5例であったが、再発群に19例に認めた。晩期再発群においては2例であった。Ki67の発現はCdc25Aの発現レベルと相関していた。一方、p27の発現は非再発群で18例に認め、再発群は7例、晩期再発群は2例に発現を認めた。Cdc25Aの発現と逆相関していた。卵巣癌におけるCdc25Aの発現レベルが再発に関与し、p27の発現レベルはCdc25Aの発現と逆相関を示していた。Cdc25Aの発現レベルが卵巣癌の再発の指標となる可能性が示唆された。
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