研究概要 |
目的:本研究の目的は,非線形有限要素解析を用いて,FRCクラスプの最適形状,つまり十分な維持力が発揮できて,かつ壊れにくい形状を求めることである.方法:下顎第二小臼歯を想定した支台歯にサーカムファレンシャルタイプのFRCクラスプアームを設置した三次元有限要素モデルを作成した.クラスプアームの基本形状は,漸縮比を1とし,断面形態は半楕円で幅を2.60mm,厚さを1.30mmとした.さらに,基本形状の幅と厚さを変化させたクラスプアームモデルを4種類作成した.FRCは直交異方性弾性材料とみなした.支台歯の根尖側1/3を拘束し,クラスプアーム基部の節点群に,着脱方向に沿って歯冠側へ5mmの強制変位を与え,各クラスプアームの維持力と圧縮応力(最小主応力)を求めた. 結果:形状の異なる5種のクラスプアームの維持力は1.00N~6.30Nであり,最大圧縮応力は65.3MPa~102MPaであった. 結論:本研究の条件下では,1歯あたりに必要とされている維持力が得られ,かつ圧縮破壊が生じる危険性が小さいクラスプアームは,基本形状のクラスプアームであった.
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