研究概要 |
本研究では、口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-2, -3, -4)、およびp53野生型の肺癌細胞株A549を用いて、エピジェネティクス制御化合物であるZebularine (ZEB)とsuberoylanilide hydroxamic acid(SAHA)と抗癌剤(CDDP, 5-FU)の併用効果による細胞毒性・アポトーシス誘導効果を検討し、以下の研究成果を得た。【結果】HSC-3細胞では、CDDP単独処理に比較してZEBの前処理またはSAHAの同時処理でCDDPによる細胞毒性が有意に増強した。CDDP単独で30%、CDDP/ZEBまたはCDDP/SAHAで80%のアポトーシス誘導が確認された。一方、5-FUの処理では、5-FU/SAHAでアポトーシス誘導の増強が観察されたが、5-FU/ZEBは逆に5-FUの細胞毒性を減弱するという、興味深い知見が得られた。このことから、口腔癌の抗癌剤感受性にはエピジェネティクス制御が関与し、ZEBやSAHAと抗癌剤の併用は薬剤感受性増強に有効であることが示唆された。
|