研究概要 |
研究代表者らが過去に樹立したfibroblast growth factor receptor 2 (FGFR2) Illc、FGFR2lllcS252Wおよび可溶型FGFR2IIICS252W (sFGFR2lllcS252W)を恒常発現するヒト骨肉腫由来骨芽細胞MG63細胞よりRNAを抽出し、マイクロアレイ法により発現遺伝子について検討を行った。Apoptosis-inducingfactor (AIF)-like mitochondrion-associated inducer of death, Death-associated protein (DAP), Caspase 9,`apoptosis-related cysteine peptidase, Cell division cycle associated 1 (CDC1), Ceil division cycle 2(CDC2)の遺伝子発現に有為差が認められた。これらは細胞増殖およびアポトーシスに関連性が高い因子であり、すなわち、FGFR2IIICS252Wは骨肉腫細胞においてアポトーシスを亢進させ、細胞周期関連因子の発現に影響を与えることで細胞増殖抑制効果が現れる可能性が考えられた。単離したヒトfibroblastgrowth factor receptor 2(FGFR2)IIIc、FGFR2IIIcS252Wおよび可溶型FGFR2IIIcS252W(sFGFR2IIIcS252W)をadeno-associated virus vector(pAAV MCS vector, AAV-Heper Free System;Stratagene)のBamHI/Xhol制限酵素サイトに組み込み、発現ベクターを構築した。 Apert症候群の原因遺伝子である繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)2遺伝子の変位によるヒト骨肉腫由来MG63細胞の増殖抑制にはCDC1,2,27が、アポトーシス誘導にはAIF,DAP,およびCaspase9が、骨芽細胞分化および石灰化の亢進には、内軟骨性骨化に重要なVDRや細胞外基質構成因子であるFBN1の関与が示唆され、骨肉腫に対する癌分化療法のターゲット因子となりうる可能性が示唆された。
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