研究課題
若手研究(B)
本研究は、脳梗塞患者の抗血栓療法を中心とした服薬アドヒアランスを向上させるための看護支援について探究することを目的としている。今年度は、看護支援に必要な具体的要素を確定するために、以下の調査を行った。関東にある病院2施設の神経内科外来において、脳血管疾患患者を対象としてフォーマルインタビューを実施した。インタビューでは、半構成的質問紙に基づき、服薬アドヒアランスを規制する因子を詳細に尋ねた。インタビューの内容は、ICレコーダーに記録された。これらに加え、フィールドノートには、インタビューにおける対象の様子や反応を記載し、また診療録からは対象の背景、生理学的検査データ、入院中の経過などの情報を収集した。収集されたデータはEthnography Content Analysisの手法を用いて分析され、脳血管疾患患者集団における服薬管理に関する行動傾向や、これに係る詳細な要因、ならびに服薬管理に関するニーズについて分析された。調査対象は延べ23名、平均年齢は69.1歳であった。面接の平均時間は62分であり、また、2名については、面接では十分に思いが述べられなかったと、A4用紙7〜8頁ほどの手紙を書かれた。アドヒアランスに影響するおもな要素は、「脳梗塞発症とこれに伴う体験」「一日のライフスタイルの構築」「社会的支援の状況」「将来への見通し」などであった。在宅療養する患者に対する継続的で包括的なケアの提供、並びにモニタリング成果の教育などについて、効率的に看護支援を提供する方策を検討していく。