研究課題
若手研究(スタートアップ)
本研究は神経系発達における甲状腺ホルモンを撹乱する化学物質の影響を評価することを目的としている。本年度はまずラットにおける正常な神経発達のスケジュールを組織学的に明らかにした。1)胎齢11日の段階でBedU投与により、未熟な胎仔脳のその時点で増殖した細胞をラベルし、細胞の移動を経時的に評価、2)Ki67を指標として採材時に増殖していた細胞を数量化、さらに3)TUNEL染色法により採材時に生じていたプログラム細胞死の数量化を行った。その結果、脳で発生するプログラム細胞死には著しい時期および部位特異性があることを見出した。プログラム細胞死を高頻度で個体差が少なく観察できるところが、生後4日目大脳皮質のCingulate cortexおよびRetrosplenial cortexであったことを踏まえて、次に甲状腺ホルモンがプログラム細胞死に関与しているかを検証するために、胎生期から生後4日にかけて甲状腺ホルモン欠乏状態にしてプログラム細胞死を観察した結果、甲状腺ホルモンがプログラム細胞死を部位特異的に正負両方に制御する因子であることが示唆された。また脳各部位(大脳皮質、海馬、線条体、中脳、小脳)から初代培養神経系細胞を作出して細胞死モデルを薬物を始め種々の方法で確立し、細胞死への甲状腺ホルモンの関与をin vitroで検討した。現在、甲状腺ホルモンが神経細胞の増殖、移動、分化に関与しているかを検証するとともに水酸化PCBを曝露したラットを作成して研究を行っている。
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