研究課題
若手研究(スタートアップ)
本研究の目的は、改良型ドリッカマー型装置を開発し、それと単色放射光を使って下部マントル鉱物の変形実験を行うことである。本年度は、単色放射光を使ったX線回折実験、X線透過像観察を行うことができるドリッカマー型装置を開発し、室温高圧におけるいくつかの物質の高圧下における差応力と歪の同時測定を行った。ドリッカマーアンビルは、直径24mm、高さ25mm、キュレット先端径φ3mm、アンビルのテーパー角20°、25°、30°を採用した。アンビルの材質としては、炭化タングステン(WC)と焼結ダイヤモンド(SD)を使用した。SDアンビルは、直径16mm、高さ5mm、キュレット先端径φ3mmとし、それ以外の部分はWCやステンレスで製作した。WCアンビルを採用した場合は荷重100トンで約30GPa、SDアンビルの場合は荷重50トンで約31GPaの圧力発生を確認した。WCアンビルを用いて、Pt、Au、Mg_2SiO_4リングウッダイトの焼結多結晶体、また、SDアンビルを用いて、NaCl多結晶体の高圧室温下にける差応力測定を行った。実験は、アメリカの第3世代放射光施設APSのBL13-BM-Dで行った。偏向電磁石からの白色X線をSi(111)の2枚結晶モノクロメータで65keVに単色化し、入射X線として使用した。回折X線は、2次元のX線CCDを使用して検出した。X線透過像観察は、透過X線をYAGシンチレーターで可視化し、それをCCDカメラで検出した。実験の結果、Mg_2SiO_4リングウッダイトの焼結多結晶体の差応力の圧力依存性は、これまでの研究で示されたデータとよく一致することが確かめられた。またNaClの差応力をB1-B2相境界をまたいで測定し、相転移によって差応力がほとんど開放される様子を観察した。
すべて 2007
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Physics and Chemistry of Minerals 34
ページ: 131-143
Geophysical Research Letters 34
ページ: 23304-23304