研究概要 |
厳しい経済状況と環境下での社会基盤施設の建設を要求されている我国では,設計段階での設計精度の向上とコスト縮減が実務設計において急務であるため,先ず,現設計法の留意点や問題点を抽出する必要がある.本研究では,このような問題を解決するために,海洋空間に建設される円筒構造物に着目し,水中にある円筒構造物のより正確な自由振動特性を解明し,また,現設計法の留意点や問題点の抽出を試みた.その結果,(1) 液体に接する厚肉な中空円筒体及び中実円筒体では曲げ振動が基本振動数になるため,曲げに関する自由振動特性の把握が重要になること,(2) 液体に接する厚肉中空及び中実円筒体の曲げに関する固有振動数及び固有振動モードは,液体に接していない円筒体の固有振動数及び固有振動モードから推定が可能であること,(3) 中空円筒体の厚さが薄く,円筒体が長くなると液体の影響を受けやすいこと,(4) 円筒体の厚さ,長さ及び液体の高さに係わらず,Timoshenko 梁理論は3 次元弾性論の代替として十分に使用できること,(5) 古典梁理論は,円筒体の長さが十分に長い場合であれば,3 次元弾性論の代替として適用可能であること,を明らかにした.
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