研究概要 |
本研究課題は諸般の事情(チュニジア共和国での地上調査許可の取得や協力者の確保等)によって実施が遅れたため,研究費の繰越申請を行って実際には2008年度~2009年度に実施した.また,許可を得て解析作業は2010年度まで実施した. ASTER人工衛星画像が2008年5月より植生解析に重要なセンサーが不具合により使用不能に陥ったため,当初予定していた調査と同期した衛星画像の観測が不可能となった.よって,地上調査解析に重点をシフトし,将来的に他の衛星画像にて植生解析できるためのデータセットを作成した. また,調査計画策定や暫定的な植生解析のために調査時期と異なる過去の衛星画像を前年度購入して簡易解析をしたが,季節が異なるために当初予定していた手法では満足な結果が得られなかった. 2年間の地上調査によって,チュニジア共和国の半乾燥地・乾燥地のカッセリーン県~ガフサ県までの約1100km^2で簡易的なものも含めて26区画の植生調査を実施し,各地域に分布する代表的な植生を網羅的に把握することができた.また,各区画のバイオマスなどを数値解析するためにアロメトリー式を15個作成した(刈り取り調査ができず,文献からもアロメトリーが把握できていないものもある).ただし,これらの区画数では広域の場所を衛星画像解析するために必要なデータ数ではないため,現状では概要把握ができる程度であった. 今後は無理のない計画で必要な地上調査データを取得するとともに,解析に充分な時間を割り当てて,必要な成果を得ることに勤めるべきと考えられた.
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