研究概要 |
1.MRIプローブ:これまでに研究代表者によって開発されたZn^<2+>応答性MRIプローブは、生体に応用する際MRI信号変化が不十分であるため、新たな原理を用いることでMRI信号をより大きく変化させることを試みた。新たな原理としてReceptor Induced Magnetization Enhancement(RIME)現象に着目し、モデルターゲット酵素分子であるβ-galactosidase活性を検出可能なMRIプローブの開発を行った。今年度は、このMRIプローブの特性を精査し、Chemistry-A European Journal(2008)に学術論文として発表した。 2.長寿命蛍光プローブ:Eu^<3+>はそれだけでは蛍光が非常に弱く、発光団を持つ配位子と錯体を形成させることで、その蛍光強度を強めることができる。そこで、キノリン環を基本骨格とした様々な発光団を持つ蛍光性Eu^<3+>錯体群を合成し、蛍光顕微鏡への応用が可能な十分長い励起波長を有するかを調べた。その結果、発光団をうまく分子設計することで時間分解蛍光顕微鏡での使用が可能であった。さらに、これまでに研究代表者によって開発されたZn^<2+>応答性Eu^<3+>錯体(Hanaoka, K., et. al.J. Am.Chem.Soc., vol.126,pp12470-12476(2004))を時間分解蛍光顕微鏡システムに応用した結果、細胞内Zn^<2+>の濃度変化を時間分解蛍光イメージングすることに成功した。今年度は、これらの実験について精査および取りまとめ、Jourhal of the American Chemical Society(2007)に学術論文として発表した。 また、(1)と(2)の両研究に通じて、簡便に多種のランタノイド金属イオン錯体群を合成するためのペプチド固相合成技術の立ち上げを行った。
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