研究課題/領域番号 |
19890052
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
張田 豊 東大, 医科学研究所 (10451866)
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研究期間 (年度) |
2007
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,085千円 (直接経費: 2,680千円、間接経費: 405千円)
2008年度: 1,755千円 (直接経費: 1,350千円、間接経費: 405千円)
2007年度: 1,330千円 (直接経費: 1,330千円)
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キーワード | ネフローゼ症候群 / 蛋白尿 / 糸球体上皮細胞 / スリット膜 / Nephrin / Neph1 |
研究概要 |
1)スリット膜蛋白質Neph1のリン酸化とその意義 プロテオミクスを用いたスリット膜複合体の機能解析として、まず主要なスリット膜タンパク質であるNeph1のリン酸化を解析し、糸球体上皮細胞傷害モデルであるPAN腎症、プロタミン硫酸還流モデルにおいてそのリン酸化が亢進している事をみいだした。次に、Neph1の細胞内領域のタンパク質を精製し、in vitroでリン酸化し、それを質量分析計で解析する事によりリン酸化するチロシン残基を同定した。またリン酸化に依存して結合する蛋白質をPull down法によって解析し、Grb2,Cskという蛋白質がリン酸化Neph1に特異的に結合する事、Grb2はNeph1のY637,Y638のリン酸化によって結合する事も判明した。Neph1のY637のリン酸化を特異的に認識する抗体の作成にも成功し、実際にin vivoでこのリン酸化がおこっている事を見いだした。さらにこれらの結合がどのような機能を担っているかについて解析をすすめ、FynによるGrb2結合部位であるY637のリン酸化がFynの下流でのERKの活性化を抑制する事を見いだした。これらの事から、Grb2の病態におけるリン酸化がGrb2を介して細胞内のシグナル伝達系を修飾する可能性が示された。この結果は2008年にJ Biol.Chemに投稿した。 2)Nephrinのリン酸化の機能解析 同様の方法によりスリット膜を構成する主成分であるNephrinのリン酸化について解析し、Nephrinの細胞内リン酸化チロシン残基の同定、そのリン酸基に特異的に結合する蛋白質を既知のNckの他に、PLC-gamma等、新規に4つ同定した。これらの成果は糸球体上皮細胞傷害時にスリット膜蛋白質がリン酸化を介して様々な蛋白質と相互作用する事、さらに細胞内シグナル伝達に直接関与する事をしめし、スリット膜の生理的および病理的な状態でのダイナミックな構造の変化を見いだした画期的な成果となった。現在これらのリン酸化が疾患発症にどうかかわっているか、さらにその他のスリット膜蛋白質のNephrinの動的構造につき検討を進めている。
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