研究概要 |
Epidermal growth factor receptor (EGFR)を高発現したA-431細胞から作製したEGFR阻害剤のerlotinibに対する耐性株においてMMAC1/PTENのリン酸化状態について検討し、Akt/PKBの活性を低下させる抗がん剤のgemcitabineがリン酸化AKT/PKBを減少させてEGFR阻害剤への感受性を回復することを見出した(投稿中)。さらにAKT/PKBの下流のmTORをターゲットとしてラパマイシンを併用した場合にEGFR阻害剤への感受性が回復することを見出し、mTORの下流でのシグナルのリン酸化状態を検討中である。さらに下流のp27の細胞内局剤に着目し、悪性神経膠腫との予後の関係を明らかにした(Anticancer Res,2009)。さらにEGFR/HER2のdual inhibitorのlapatinibが、EGFRの活性と無関係にHER2の活性を抑制することを示した(Mol Cancer Ther2008)。また、アポトーシス阻害因子のIAP family memberの一つであるsurvivinの局在と機能や中心体の数に与える影響と染色体の不安定性について報告した(Br J Cancer,2008)。そして、PEA-15の癌抑制遺伝子としての役割を示した(Cancer Res,2009)。他にもやもや病における硬膜のVEGF発現について検討し報告した(Neurosurgical Rev)。臨床では、脳に対する放射線照射後の二次性腫瘍発生について検討を行い、高線量の放射線照射後に退形成星細胞種や膠芽腫が発生する一方で、低線量の放射線照射や高線量照射の辺縁部に乏突起系腫瘍が発生することを見出し報告した(J Neurooncol,2008)。また、glioblastomaにおける予後因子として術前のMR検査での拡散係数が重要であることを示した(Eur J Radio1,2009)。さらに、下垂体近傍発生腫瘍の診断について拡散係数の有用性を示した(Eur J Radiol,2009)。また、脳腫瘍におけるMR spectroscopyの有用性(脳神経外科ジャーナル,2009)とMR spectroscopic imagingの有用性(広島医学,2009)について示した。
|