研究概要 |
当該研究は、Intestinal Trefoil Factor(ITF)の消化管粘膜修復因子としての臨床応用の可能性を模索することを目的としている。これまでのラットを用いた基礎的実験で、ラットの胃粘膜に人工的胃潰瘍を作成し、病変部にITFを直接散布することにより創傷治癒が促進することを確認している。本研究では、In vitroの系を用いた基礎的実験として、ヒト胃粘膜上皮の細胞株を用いてMigration assayを行い、ITFは濃度依存性にmigrationを促進することを明らかにし、創傷治癒促進効果を裏付ける基礎的データを得た。本研究は内視鏡的粘膜剥離術(ESD)後に形成された人工的胃潰瘍に対してrecombinant ITFを投与し、その治療効果、臨床応用への可能性を明らかにすることを目的としている。今後の治験を前提とした治療スケジュールとしてESD当日、ESD翌日に、潰瘍病変にrecombinant ITFを内視鏡的に直接散布、またその治癒効果の判定方法として、ESD1週後、ESD1ヶ月後に内視鏡的、また病理学的にその潰瘍病変の治癒の程度について検討を行うこととした。ESD1週後の内視鏡判定項目としては、(1)潰瘍底の白苔の程度(2)潰瘍辺縁の浮腫の程度(3)潰瘍の面積(縦×横)の測定を選定した。またESD1ヶ月後は、内視鏡的に、(1)崎田・三輪分類(A2,H1,H2,H3,S1)(2)潰瘍の面積(縦×横)の測定を、さらに病理学にSydney system分類を判定項目として選定することとした。
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