研究課題/領域番号 |
19900112
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
石田 肇 国立大学法人琉球大学, 医学部, 教授 (70145225)
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研究分担者 |
岩政 輝男 国立大学法人琉球大学, 学長 (10110842)
土肥 直美 国立大学法人琉球大学, 医学部, 准教授 (30128053)
平田 和明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (50139648)
鵜澤 和宏 東亜大学, 総合人間・文化学部, 准教授 (60341252)
米田 穣 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30280712)
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研究期間 (年度) |
2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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キーワード | オホーツク文化人骨 / 中世鎌倉人骨 / 沖縄古人骨 / 動物考古学 / 古病理学 / 形質人類学 / 生活誌 / 同位体分析 |
研究概要 |
鎌倉市由比ヶ浜地域には大量の中世人骨が出土している。刀創受傷率は材木座遺跡が最も高く65.7%であり、由比ヶ浜南遺跡が1.3%であった。また、当時の人口構成の復元を行った。男女比はほぼ1:1であり、未成年と成人個体の比は2:3であった。平均寿命が24.0歳という結果が得られた。中世壮年期女性人骨に結核が認められたので報告した。同位体分析の結果から、中世鎌倉では、2歳前後で、離乳を始めている可能性が高いことがわかった。 中世人の歯冠サイズが小さい傾向があることを明らかにし、当時の劣悪な生活環境を反映したものと推論できる。由比ヶ浜南遺跡の動物骨資料分析から、タフォノミー分析が動物考古学にも有効と思われた。 オホーツク文化人集団の頭蓋形態小変異を用い分析を行った。RelethfordとBlangero法では、東部オホーツク群では、高いRii値と低い観察値を示すことから、形態的な多様性を失っている可能性を示した。オホーツク文化人は、バイカル新石器時代人、アムール川流域の人々と類似性があることが再確認された。サハリン、北海道東北部のアイヌは、後のオホーツク文化集団などの影響を強く受けた可能性がある。ミトコンドリアDNA分析の結果等は、オホーツク文化人とアイヌとの関連を支持するものであり、日本列島の人類史を書きかえる可能性を示した。 久米島近世人骨の頭蓋形態小変異の研究は、琉球列島の人々が、先史時代から歴史時代にかけて、本土日本からのみならず、南方からの遺伝的影響を受けている可能性を示唆した。同資料の変形性脊椎関節症の評価を行った。女性においては腰部での重度化を認め、その要因は男女間の食性の差も示唆される。また、右肘関節の関節症も女性に多い齲歯率、生前脱落歯率が男性より、女性に有意に高く、女性特有のホルモンの変化による影響に加え、米田らの安定同位体分析では、女性が炭水化物から、男性は魚類からたんぱく質を摂取する傾向があり、男女間の食習慣の違いも反映していると思われる。
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