研究概要 |
19年度は,以下の研究を実施した。 1. 「日本出土元青花瓷資料集成」の報告書を刊行する目的をもって,全国の出土遺跡を悉皆的に調査し(熊本・福岡・米子・京都・福井・長野・田原など),新たに実測図の作成および撮影をおこなった。とりわけ,出土破片数が1,500片に達する沖縄県首里城・今帰仁城・勝連城などの出土の元形式青花瓷のすべての調査を完了した。 2. 「日本出土元青花瓷資料集成」の報告書を作成するため,研究協力者などの援助を受けて刊行に到り,資料価値の大きな,永続的な業績と考えている。『日本出土元青花瓷資料集成』A4版,310ページ 3. 中国陶瓷器の胎土分析に関して,従来行われている蛍光エックス線分析と並行して,破片の破壊を伴うICP発光分光分析法を,元青花瓷器について試み,新しい所見を得た。 4. 元代中国瓷器のグローバルな分布を探るために,中世欧州の門戸と推測されるイタリア半島の調査をおこない,ボローニア大学,ボローニア中世博物館,フィレンツエのメジチ家所蔵品,ファエンツエ国際陶瓷博物館において,撮影と一部実測調査をおこなった。 5. 沖縄県石垣島と波照間島の中世海底遺跡と集落遺跡の踏査を実施し,引揚げられた陶瓷器について報告した。並行して全国主要地点として3箇所-平泉・鎌倉・平安京の各出土陶瓷器の調査をおこない,主として基礎的な資料の集成をおこない報告書を刊行した。
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