■研究目的 本研究は、次期学習指導要領で新設されることが決まった低学年「数量関係」領域の具体的なカリキュラムを開発することを目的とした。そのため、関数的な考え方へとつながる内容を第1・2学年の「数と計算」領域の中から抽出し、新たな単元として設定して実践的に研究を進めた。 ■研究方法 新しい単元開発の着眼点として(1)関数的な考え方の伸張、(2)数学的内容の系統・発展、(3)子どもの課題意識の連鎖、の3点を設定した。そして、第1学年、第2学年それぞれ2クラス、計4クラスを取り上げ、授業実践を比較しながら、常に妥当性・客観性を検討して進めていった。 ■研究成果 本研究をとおして、低学年において「数量関係」領域の単元を開発する際には、複数の事象間に共通する性質を帰納的に一般化していく「『きまり』を創発する活動」を位置づけた発展的学習の設定が有効であることが明らかになった。この「きまり」づくりの活動を中核にして、事象の条件を連続的に変化させ、一般化された法則づくり(学級文化づくり)を行うことに、児童は興味をもって追究できることも明らかになった。さらには、「きまり」を考察する活動を設定することで、関数的に事象を追究する主体的な児童の態度を育成することができることが明らかになった。第1学年において、新たに開発した単元は、次の通りである。 1.10までの数をつくるたし算はいくつできるか:式の見方と変化 2.差が□になる○-△(一位数同士)のひき算は何種類:変化と対応 3.繰り上がりがあって和が11〜18の式はいくつできる:式の変化 4.繰り下がりがあって差が2〜9の式はいくつできる:差の変化 5.数の並びのきまりはずっと変わらないの:数表の見方と数の拡張
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