本研究では、「総合的な学習」の素材として「りんご」を取り上げ、地域の歴史との関わり、りんごそのものについて調べたり、農家の工夫や一年間の作業を知り、実際の作業体験をさせる中で、子どもたちの主体的な学習の可能性を調べ、「総合的な学習」のための学習開発の研究と学習参考資料作りを行った。 (1)子どもたちに適した作業体験…人工授粉、袋かけに代わる作業として「マメコバチの受粉の様子の観察と花摘み」「葉取りとつる回し」の二つの作業が有効だということがわかった。収穫の後のパーティーはお世話になった方を招待したり、自分たちで調理をしたりといろいろな展開が考えられる。 (2)種からの栽培…実生の苗木は品種改良の時のみ栽培されるが、総合的な学習においては、観察に適しているということがわかった。ただし、実がなるまでには1年では全くたりない。 (3)学習材としての「りんご」研究…りんごはほぼ日本全国で栽培されていて、地域による品種の違いを調べさせることは大変有効である。また、品種によって糖度や収穫時期などが違うので、収穫した「りんご」について調べることも有効である。弘前市周辺の菓子工場では、土産品としてりんごを使ったお菓子が多く作られており、ほとんどは生の果肉を使っている。一方、全国展開されている菓子等でりんご味のものは果汁や粉末を使用しているものが多い。弘前市にはりんごをモチーフにしたオブジェなどいろいろなものが町中で見かけられるので、子どもたちが足を使って調べ学習をするのにも大変有効である。 <まとめ>植物としての生長や生産や流通、りんごの加工品さらにはりんごを使った町おこしなど、弘前市周辺においては、「りんご」が大変有効な学習材であることがわかった。一方、学習資料については、子どもたちが自分の力を使って調べる上でのじゃまにならないような工夫をし、担当教員の手引きとなるようなものが望ましいということがわかった。
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