研究概要 |
1.自動血球分析装置XE-2100による破砕赤血球比率定量の性能評価 1)同時再現性 3検体10回連続測定による同時再現性を検討した結果,CV22.29%(mean0.25%),CV11.68%(mean1.44%),CV4.49%(mean10.63%)と低値域でややばらつきがみられた。 2)目視法との相関 患者検体45検体について目視法とXE-2100による相関を検討した結果,回帰式y=1.47x+1.21,相関係数r=0.581であった。目視法とXE-2100のデータが乖離した症例について,MCV(平均赤血球容積),RDW(赤血球分布幅)との関連を検討したが,一定の傾向はみられなかった。 3)採血後の経時変化 3検体について室温保存と4℃保存で経時的に測定し,検体保存によるデータの変動を検討した。採血直後から48時間後まで,いずれの条件でも大きな変動はみられなかった。 4)基準範囲の設定 健常人およびスクリーニング検査で異常がみられない外来患者より,破砕赤血球比率の基準範囲を求めた。ノンパラメトリック法で求めた基準範囲はXE-2100で0.005〜0.785(n=64),目視法で0.014〜0.686(n=33)となった。 2.赤血球破砕症候群での検討 同種骨髄移植後に赤血球破砕症候群を発症した2症例について破砕赤血球比率を経時的に測定し,臨床経過との関係について検討した。破砕赤血球比率はLDH,間接ビリルビン,網状赤血球数の変動とほぼ一致した動きを示し,溶血性貧血の進行を反映しているものと考えられた。 以上の結果より,XE-2100による破砕赤血球比率定量は,一部で目視法と乖離した結果を示す場合もみられたが,個々の症例での変動はよく一致しており,赤血球破砕症候群などの症例における経過観察においては大変有用であると思われた。
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