【研究目的】バスケットボールにおいて制限区域よりも遠い位置から放つミドルまたはロングショットの成功率を高める方法として、『狙って打つ』ことに焦点を当て、楽しく技術習得できる練習方法の教具開発を試みた。 【研究方法】まず、生徒たちのフリースローと3ポイント付近からのシュートフォームをVTRに記録した。これにより、生徒たちのシュートが成功する場合の入射角がだいたい一定であることを確認し、生徒一人ひとりのリリースポイント、リングまでの距離、入射角の3点を軌道解析シートにあてはめ、各自のシュート軌跡を提示し、その軌跡上の2点に鈴をぶらさげ、鈴が鳴るように狙うことを指示して練習を行なわせ、データを集めた。 第1段階での実験で2つの問題が起こった。一つは、3ポイントシュートが打てる女子生徒は限られており、実験結果分析ができるデータが集まらないこと、もう一つは、フリースロー付近からのシュートでは最高到達点とリングから50cm離れた地点の2ケ所にセットした鈴を視界に入れてゴールを狙おうとするとあごが上がり、逆にシュートフォームを崩してしまうことである。そこで、第2段階として(1)鈴を全くセットしない、(2)ゴール付近に鈴を1個だけセットする、(3)鈴を2個セットするの3グループに分け、シュート成功率を比較した。 【研究成果】実験の結果、(2)のグループが一番成功率が高くなった。その時のシュートフォームと軌跡を分析してみても、目標物がある方が視線の集中とリリースポイントの安定が見られた。実験対象となった生徒たちの感想では個々のデータ入力により目標ポイントが設定されているという自分だけのオリジナル感と的当てゲームのような遊び感覚が楽しかったらしく、モチベーションを高める誘因となったことが感じられた。
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