研究課題
特別研究員奨励費
申請者は、分子設計技術を活用し次元制御された異方的電荷輸送能を有する共役伝導性高分子材料を開発し、電極レスマイクロ波電気伝導度測定を用いて共役部位の電荷輸送能を完全実験的に評価する。有機エレクトロニクスの研究分野への貢献を志向して、電気伝導度・電子スピンのダイナミクスを包括的に評価して、高い化学的安定性と良好な電子特性を示す高分子材料の次元設計指針を確立する。
本研究は,異方電荷輸送能を有する2次元高分子材料を設計・合成し,高い結晶性と規則構造を有するがゆえに,その光電子的特性の評価が従来困難であった点を電極レスマイクロ波電気伝導度測定によって克服しつつ,次世代の2次元共役高分子の構造設計へと反映させることを主眼に進めている.当初の研究計画において次元性の制御は,1)絶縁被覆側鎖の導入,電気伝導性の最適化においては,2)二次元共役周期構造を有するCovalent Organic Framework(COF)の構築を,それぞれ基本設計指針として研究を進めてきた.令和2年度は,1)についての安定高効率固体発光材料として有望であるとの研究結果を踏まえ,特に2)について,4,4″-diamino-substituted p-terphenyl(Tp)および1,3,5-triformylphloroglucinol (TH)を中心に検討を行い,Formyl-amine間の結合によるimine構造を介して,動的共有結合性を最適化しつつCOFの構造制御を行った.3官能性 amines を中心に異なった立体構造を有するπ共役リンカー分子を系統的に用いて基本幾何学構造の制御を行った結果,一連の新奇なCOF構造形成に成功した.従来のCOFと比して十分に高い結晶性を示す構造体を得るための指針を明らかとし,これを光エネルギー捕集系として展開することを試みた.COFの微細孔内に制御された白金ナノ粒子の担持を行い,主にCOF骨格上共役電子系を光励起して電子移動を誘起し,触媒活性点への光速電子移動過程を非接触マイクロ波伝導度測定から明らかにした.この結果,COFの立体構造が電子輸送に決定的な影響を与えることを示し,光エネルギーの化学エネルギーへの変換の鍵材料として展開するうえでのCOF局所構造の最適化における指針を得た.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件)
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