研究実績の概要 |
本年度も受入中の外国人特別研究員 Omar Kidwai 氏とともに位相的漸化式と完全WKB解析とスペクトル・ネットワーク, 特にBPS構造に関する研究を行い、以下の成果を得た: (i) 超幾何微分方程式, およびその合流として得られる微分方程式の古典極限に位相的漸化式を適用した際に, (自由エネルギーだけでなく) 量子曲線の Voros 係数もBPS指数の数え上げとして記述できることを示した. (ii) Voros 係数の Borel 和が BPS 構造に付随する Riemann-Hilbert 問題の解となることを示した. (iii) 自由エネルギーの Borel 和を「 Barnes の G-函数で記述する公式を与え, それと Bridgeland 氏が導入した BPS 構造に付随するタウ函数が本質的に一致することを示した. これらは昨年度に得られていた成果の拡張であり, すでにプレプリントとしてまとめ, 雑誌に投稿中である. また, Kidwai 氏は大須賀氏 (東大数理, JSPS) との共同研究で refine された位相的漸化式と量子曲線に関するプレプリントも執筆している.
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