研究課題
奨励研究
住吉如慶作品2点、伝承作品5点の作品研究と比較研究を行った。17世紀初頭に源氏絵制作された光則の源氏絵と、同時代の注釈書を通じて共有されていた源氏解釈という知との関わりを分析し、光則図様の形成について論じた。これによって、光則の新しい図様探求は、江戸初期に進展する注釈書をひとつの柱とし、光則が自らの源氏解釈を新たな図様に見出すかたちで再構成したことが立証された。
近年、美術史研究や展覧会の場で注目される近世やまと絵における住吉派再評価の問題を源氏絵に焦点を当て①近世初頭の源氏絵作例の体系的な整理、②土佐派源氏絵と住吉派源氏絵の影響関係、③近世初頭に注釈書を通じて共有される源氏解釈と図様形成という議論を深めた点に学術的意義が認められる。また、作品調査に伴う資料生成(高精細画像、詞書翻刻)には社会的意義が認められる。