フランスの日本語教育の現状について、学習者と教員双方の構成・背景を含め、実地調査・分析・追跡を行おうとする全体論的なアプローチは、わが国においてこれまで十分に展開されていない。フランス人学生・教員の情報だけでなく、日本人教員が現地採用される経緯を把握することは、両国の人的交流の実態を捉え直す上で意義のある調査となる。又、日本文化・思想研究へ進むフランス人学生の動機付け、問題関心についての調査も同様に明示的に扱われてこなかったテーマである。フランスの日本語教育現場で育まれる日本思想への関心・評価を分析することができれば、日仏の比較文化的考察に新たな視角を提示することができる。
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